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慢性疼痛について

「腰や肩の痛みが、もう何ヶ月も続いている」
「病院では異常がないと言われたのに、痛みが治らない」

このように長い間続く痛みに悩んでいる方は少なくありません。

一般的に、ケガや炎症による痛みは時間とともに回復していきます。しかし、痛みが何ヶ月も続く場合は「慢性痛(慢性疼痛)」と呼ばれる状態になっている可能性があります。

慢性痛は、単に体のどこかが傷んでいるというだけではなく、筋肉・神経・生活習慣などさまざまな要因が関係して起こる痛みと考えられています。近年の研究でも、慢性痛の仕組みは非常に複雑であることが分かってきています。

その中でも、あまり知られていない原因の一つが筋肉の中にできる「トリガーポイント」です。トリガーポイントは、腰痛や肩こり、膝の痛み、坐骨神経痛などの慢性的な痛みの原因になることがあります。

この記事では、まず慢性痛とはどのような状態なのかを分かりやすく解説し、そのうえで慢性痛の原因の一つであるトリガーポイントについても紹介していきます。

長く続く痛みに悩んでいる方が、自分の体の状態を理解するための参考になれば幸いです。

慢性疼痛とは

慢性痛とは、3か月以上続いている痛みのことをいいます。

通常、ケガや炎症による痛みは、体の組織が回復するにつれて徐々に軽くなっていきます。しかし何らかの原因によって、痛みが長く続いてしまうことがあります。このような状態が慢性痛です。

慢性痛には次のような症状が含まれます。

  • 長く続く腰痛

  • 慢性的な肩こりや首の痛み

  • 膝の痛み

  • お尻から足にかけての痛み(坐骨神経痛のような症状)

  • 筋肉の奥の方に感じる痛み

慢性痛の特徴の一つは、検査で大きな異常が見つからないことがあるという点です。レントゲンやMRIで骨や神経に明らかな問題が見つからないにもかかわらず、痛みだけが続くケースも少なくありません。

検査で見つからない慢性痛の原因とは?

慢性痛で医療機関を受診した際、レントゲンやMRIなどの検査を受けても「大きな異常はありません」と言われることがあります。
しかし、実際には痛みが続いているため、「原因が分からない」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

このようなケースでは、骨や関節には異常がなくても、別の要因が痛みを引き起こしている可能性があります。

一般的に整形外科の検査では、次のような異常を確認することができます。

  • 骨折や変形

  • 椎間板ヘルニア

  • 脊柱管狭窄症

  • 関節の変形や炎症

これらは痛みの原因として重要なものですが、すべての痛みが画像検査で確認できるわけではありません

実際には、慢性的な痛みの中には

  • 筋肉の緊張

  • 筋膜のトラブル

  • 長時間の姿勢や体の使い方

  • 神経の過敏な状態

などが関係していることがあります。これらは画像検査では映らないことが多いため、原因がはっきりしないまま痛みだけが続くこともあります。

その中でも近年注目されているのが、筋肉の中にできる「トリガーポイント」という痛みの発生源です。

トリガーポイントとは

トリガーポイントとは、痛みを感じるセンサー(受容器)が過敏になっている状態のことをいいます。

トリガーポイントは主に次のような組織にできると考えられています。

  • 筋肉や筋膜

  • 靭帯

  • 骨膜

トリガーポイントができるきっかけとして多いのは、日常生活やスポーツでの繰り返しの刺激です。例えば、

  • 長時間のデスクワーク

  • 同じ姿勢が続く作業

  • スポーツで同じ動作の反復

  • 筋肉の緊張が続く状態

こうした状態が続くと、筋肉や筋膜の血流が悪くなり、組織に負担がかかります。その結果、痛みを感じる受容器が過敏になり、トリガーポイントが形成されると考えられています。

また、トリガーポイントの特徴として、レントゲンやMRIなどの画像検査では確認できないという点があります。そのため、検査では異常が見つからないにもかかわらず、痛みだけが続いてしまうことがあります。

このように、トリガーポイントは画像検査では分かりにくい痛みの原因の一つとされています。

なぜトリガーポイントが慢性痛を起こすのか

トリガーポイントは、痛みを感じる受容器が過敏になった状態であるため、刺激に対して非常に敏感になっています。

通常であれば問題にならないような刺激でも、痛みとして感じてしまうことがあります。

その刺激の一つが、筋肉が収縮するときに生じる張力です。
筋肉は日常生活の動作の中で常に収縮と弛緩を繰り返しています。

例えば

  • 歩く

  • 立つ

  • 体を支える

  • 姿勢を保つ

といった動作でも筋肉は働いています。

トリガーポイントができている場合、このような日常的な筋肉の収縮による張力が刺激となり、痛みを引き起こすことがあります。

そのため、特別なケガをしたわけではなくても、

  • 動くと痛い

  • 同じ姿勢を続けると痛い

  • 体を使うと痛みが出る

といった症状が続くことがあります。

このように、トリガーポイントは日常生活の中で繰り返し刺激を受けやすいため、痛みが長く続き、慢性痛につながることがあります。

トリガーポイントには痛み止めがきかない

痛みの治療では、一般的に消炎鎮痛薬(NSAIDs)が使われます。代表的なものとしてはロキソニンなどの薬があり、炎症を抑えることで痛みを軽減させる作用があります。
また、強い痛みの場合には神経ブロック注射
などの治療が行われることもあります。

これらの治療は多くの痛みに対して有効ですが、トリガーポイントが原因となっている痛みにはあまり効果がみられないことがあります。
実際に薬を服用しても痛みがあまり変わらなかったり、一時的に軽くなったように感じてもすぐに元に戻ってしまうケースも少なくありません。

その理由の一つとして考えられるのが、痛みの種類の違いです。

現代医学では、痛みは大きく次のように分類されています。

  • 侵害受容性疼痛
    炎症や組織損傷によって起こる痛み(例:ケガ、炎症、関節痛など)

  • 神経障害性疼痛
    神経そのものが障害されて起こる痛み(例:神経損傷、帯状疱疹後神経痛など)

  • 痛覚変調性疼痛
    神経系の働きが変化して痛みを感じやすくなっている状態

NSAIDsやブロック注射は、主に炎症や神経の痛みに対して効果を発揮します。
しかし、トリガーポイントによる痛みはこれらとは少し性質が異なる可能性があります。

トリガーポイントは、痛みを感じる受容器が過敏化した状態と考えられており、いわば「刺激に対して敏感になった痛みのセンサー」が存在している状態です。

このような痛みは、炎症を抑える薬や神経をブロックする治療では十分に改善しないことがあり、受容器の過敏性そのものにアプローチする治療が必要になる場合があります。

トリガーポイントの治し方

トリガーポイントによる痛みには、刺激を与える治療法が有効とされています。

トリガーポイントは痛みの受容器が過敏になっている状態のため、適切な刺激を加えることで、受容器の状態を変化させることができると考えられています。

その方法の一つが鍼治療(トリガーポイント鍼療法)です。

鍼でトリガーポイントを刺激すると、細胞からさまざまな物質が放出される現象が起こります。これをエキソサイトーシスと呼びます。
この反応によって、過敏になっている受容器の状態が調整され、痛みが軽減すると考えられています。

ただし、トリガーポイントに対する鍼治療は、どこでも受けられるわけではありません。
トリガーポイントの評価や治療には専門的な知識と技術が必要なため、国内でも対応できる施設はまだ多くないのが現状です。

慢性的な痛みでお悩みの方の中には、トリガーポイントが関係しているケースもあります。
検査では異常が見つからない痛みが続いている場合には、筋肉の状態を含めて評価することが改善のきっかけになることもあります。

まとめ

慢性痛とは、3か月以上続く痛みのことを指し、腰痛や肩こり、膝の痛みなど多くの症状が含まれます。慢性痛の特徴の一つは、レントゲンやMRIなどの検査で大きな異常が見つからないことがある点です。

このような場合、骨や関節だけでなく、筋肉や筋膜の状態が痛みに関係していることがあります。その原因の一つとして考えられているのが、筋肉や筋膜などにできるトリガーポイントです。

トリガーポイントは、痛みを感じる受容器が過敏になっている状態であり、日常生活の動作や筋肉の収縮による刺激でも痛みを引き起こすことがあります。そのため、痛みが長期間続き、慢性痛の原因となることがあります。

また、このような痛みは炎症による痛みとは性質が異なるため、痛み止めやブロック注射だけでは十分に改善しない場合もあります。トリガーポイントによる痛みでは、受容器の過敏性そのものにアプローチする治療が重要になります。

慢性的な痛みが続いている場合には、骨や関節だけでなく、筋肉の状態を含めて評価することが大切です。原因を適切に見極めることで、改善につながる可能性があります。

長く続く痛みに悩んでいる方は、筋肉由来の痛みという可能性についても一度考えてみることが大切かもしれません。

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