臼蓋形成不全による股関節痛について
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全とは、臼蓋という股関節の屋根が正常に比べて浅く、大腿骨頭の収まりが悪い状態の事です。
接触面積が少ないため股関節の骨性の安定性が悪くなっています。

股関節の安定性について
股関節の安定化には①骨による支持(臼蓋と大腿骨頭)②靭帯の張力③筋肉の収縮によって保たれています。
臼蓋形成不全不全では骨の支持が悪いため、正常に比べて靭帯や筋肉の仕事を増やして安定性を保っています。


臼蓋形成不全と股関節痛の関係
臼蓋形成不全があると必ずしも痛いというわけではありません。
ある一定の年齢になってくると股関節痛を訴えるようになることがあります。
不安定な関節が必要以上に衝突するため、関節の軟骨がすり減り炎症が生じる事が原因ではないかとされています。

関節が痛みの原因とは限らない
臼蓋形成不全の股関節痛は関節(骨)が痛みの原因と考えられていますが、実はそれだけではありません。
もし、痛み止めが効かなかったり運動をしても一向に改善しないのであれば、靭帯や筋肉が痛みの原因になっています。
靭帯や筋肉が原因になる理由
骨性の不安定を補うために靭帯や筋肉の負担が増します。
靭帯や筋肉に負担が増すと、トリガーポイントという痛みの発生源が形成されます。

トリガーポイントによる股関節痛
トリガーポイントによる症状は、運動痛という痛みで、特定の姿勢や動作で痛みが出ます。
股関節痛では歩行時や椅子から立ち上がる、座るまでが辛いなど
といった症状が良く出ます。しばらく座っていると股関節が固まる事もあります。
また、感じる痛みは関連痛といいます。
関連痛は痛みの原因とは離れた場所に生じる痛みです。
簡単に言うと、痛い場所が悪いわけではないという事になります。
トリガーポイントを治療するためには
トリガーポイントは炎症ではないため、痛み止めが効きません。
鍼やマッサージで刺激してあげると脱感作という現象が生じ、改善させることができます。
しかし、専門的な知識を有する治療師でないとおこなえないのが現状です。
もし、その症状がトリガーポイントによるものかも?と感じたなら一度相談してみることをおすすめします。
この記事の執筆者
鈴木 雄亮(すずき鍼療院・整体院 院長/鍼灸師)
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイント治療を専門とし、
腰痛・肩こり・坐骨神経痛・膝痛・五十肩などの慢性症状改善を得意としています。
大阪手技療法研究会やREXトリガーポイント研究会で研鑽を積み、
最新の知見を臨床に取り入れながら患者様一人ひとりに合わせた施術を行っています。