腰痛になりやすい人の特徴
腰痛はなぜ起こるのか?
筋性疼痛の視点から腰痛を考えると、脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋、大・中殿筋といった腰椎や股関節の「伸展作用を担う筋肉」、そして腸腰筋のような「屈曲作用を担う筋肉」が主な原因となっているケースが多く見られます。
これらの筋肉に慢性的な負荷がかかると、過緊張や血流障害、筋硬結やトリガーポイントが形成され、腰痛を引き起こすと考えられています。
「オーバーワーク」とは?
スポーツ界で使われる「オーバーワーク」という言葉は、限界を超える過剰なトレーニングを意味します。
しかし、日常生活におけるオーバーワークとは、**小さな負荷を長期間にわたって受け続けること**を指します。
スポーツでは短時間の高負荷、日常生活では長時間の低負荷が、いずれも筋肉にとっては「やりすぎ」であり、筋性疼痛を引き起こす要因になります。
腰部に負荷がかかる生活とは?
人間は常に重力の影響を受けており、筋肉を使ってそれに抗うことで日常生活を営んでいます。
さらに、生活習慣によって特定の部位に負担が集中することで、腰への負荷がさらに増すことになります。
① 長時間の座位・立位
長時間同じ姿勢(座りっぱなし・立ちっぱなし)でいることは、腰に非常に大きな負担をかけます。
この姿勢では、脊柱起立筋や殿筋を使って姿勢を保持していますが、筋肉を動かさないことでポンプ作用が失われ、血流や代謝が低下。
代謝産物が蓄積され、やがて痛みとして認識されるようになります。
② 中腰姿勢での作業
掃除機をかける、洗い物をするなど、中腰の姿勢は日常的によく見られます。
この姿勢では頭部が前方に移動し、重心がずれることで背筋や殿筋に強い緊張がかかります。
中腰を繰り返すことでトリガーポイントが形成され、動作のたびに痛みを感じるようになります。
③ 腰を反らせる動作の反復
高い棚の物を取る、上の方で作業をするなど、無意識に腰を反らす動作も筋肉への反復刺激となります。
これにより背筋に負荷がかかり、腰痛を引き起こす原因に。症状が進むと、仰向けで寝るだけでも痛みを感じるようになることがあります。
これは、寝ている間も筋肉が緊張し、腰が反ることで痛みが出ている状態です。
腰痛を引き起こさないためには?
基本的には、痛みを感じる姿勢や動作を避けることが大切です。痛みは、身体からの「これ以上負荷をかけないで」というサインでもあります。
まずは楽に感じる姿勢を探し、家具や作業環境の見直しを行い、負担を軽減しましょう。
たとえば:
- 座面の高さや角度の調整
- 作業台の高さを身体に合わせる
- 長時間同じ姿勢にならないよう、意識的に動く
こうした生活環境の改善だけでも、慢性腰痛が大きく和らぐことがあります。
まとめ
腰痛の原因は「加齢」や「骨の問題」だけではなく、日常的な姿勢や動作による筋肉の疲労やトリガーポイント形成も大きく関係しています。
慢性化してしまう前に、ご自身の生活習慣を見直すことが、痛みの根本的な改善への第一歩となります。